BIS規制の緩和 2012 2 11
また、日本のバブル時代の話をしましょう。
この時代は、世界の銀行ランキングの上位に、
日本の銀行が数多くランキングされ、
まるで国内ランキングかと思うほどでした。
それほど絶好調だった日本の銀行にも、
やがて、陰りが生じるのです。
それが、BIS規制の導入だったのです。
BIS規制とは、国際業務を行う銀行の自己資本比率に関する、
国際統一基準は、8%以上とするものでした。
つまり、自己資本比率8%以上を達成できない銀行は、
事実上、国際業務から撤退せざるを得ないことになるのです。
あの当時、日本の銀行も、
積極的に国内融資を行うとともに、海外融資も行っていました。
しかし、自己資本比率は低いものでした。
そのため、BIS規制の導入は、
絶好調だった日本の銀行つぶし(銀行叩き)ではないかと言われました。
しかし、こうした懸念に対して、国内では楽観論がありました。
右肩上がりの地価と株価、融資先の企業は絶好調。
「これなら、BIS規制の導入されても、痛くも痒くもない」という楽観論でした。
しかし、バブルが崩壊したら、どうなったか。
日本の銀行は、BIS規制の基準を維持するために、「多忙」となりました。
「貸し渋り」どころか、「貸しはがし」まで横行し、
これが、日本の不景気に、一層の拍車をかけたのです。
このような銀行の行動は、後に、「失われた10年」の原因のひとつとなりました。
さて、最近、バブルが崩壊した欧州は、どうなったでしょうか。
不動産バブルというと、アメリカを連想しますが、
実は、欧州の方が、アメリカよりも不動産バブルが大きかったのです。
さらに、投資銀行というと、アメリカを連想しますが、
実は、欧州の金融機関も、積極的に投資銀行業務を行っていたのです。
今は、欧州版の「失われた10年」の2年目か、3年目でしょうか。
あるいは、これから「失われた10年」に入るのでしょうか。
BIS規制があっても、
リーマン・ショックに代表される国際金融危機は防げなかった。
BISに存在意義はないでしょう。